悟空とベジータはフュージョンでゴジータとなり、超サイヤ人4に変身した。ゴジータはジフーミ戦の時以上に気を高めたが、更に気を溜め続けたゴジータの体が徐々に変化してきた。激しい炎の様相をした黄金色のオーラに全身を包まれ、胸毛が胸を完全に覆い、上半身の毛の色が全て赤から茶色に染まり、瞳の色が赤になった。飛行していた悟飯や彼を追いかけていたカイは、 ゴジータの余りの気の大きさに驚き、 動きを止めてゴジータのいる方向に振り向いた。
「行くぜ!木偶の坊」
ゴジータは真っ向からカイに突っ込み、カイの顔を蹴飛ばした。そして、カイの体の様々な箇所を移動しながら攻撃した。カイはゴジータの動きに全く対応出来ず、ゴジータからの攻撃を受け続けた。
ゴジータの突然の変化に、水晶玉を通して観戦しているボレィや、ピッコロ達も驚いていた。
「あれは・・・間違いない!超サイヤ人5だ!超サイヤ人5だよ!パワーもスピードも、完全に兄ちゃんを上回っている」
「父さん達、何時の間に・・・。魔界に出発する前日に二人で秘密の特訓をしていたのは知ってたけど、まさか一日足らずで超サイヤ人5になれるなんて・・・」
悟天とトランクスは、悟空とベジータが合体して超サイヤ人5に変身した事に興奮していた。
「お前達は単独では超サイヤ人3までしか変身が出来ないが、合体すると超サイヤ人4まで変身が可能だ。ならば、単独で超サイヤ人4に変身が出来る悟空とベジータが合体すれば、超サイヤ人5まで変身が出来ても変ではあるまい。今まで超サイヤ人5にならなかったのは、事前に試していないのに、いきなり実戦で使うのはリスクが大き過ぎると考えたからだろう。しかし、悟飯がゴジータを超えた事に焦った二人は、超サイヤ人5をマスターするための修行を行なった」
ピッコロの推理通り、負けず嫌いの二人は、超サイヤ人5となるための修行を行った。気を限界まで高める事で、あっさり超サイヤ人5になれたが、慣れない力のコントロールに苦労した。結局、ゴジータは超サイヤ人5になる事よりも、超サイヤ人5の力を使いこなす事の方に時間を費やした。
「よし!これならカイを倒せるかもしれん」
ピッコロはゴジータの強さに安堵したが、悟天とウーブが即座に否定した。
「そうかなあ?超サイヤ人5になって、気が急激に上がったけど、それでもカイの方が気が上だよ。それに、カイは攻撃を受け続けてるけど、気は一向に衰えてない」
「それに、これまで超サイヤ人3や4に変身すると合体していられる時間が短くなりました。超サイヤ人5だと、合体していられる時間は更に短くなるはずです」
「う、うーむ・・・。確かに、お前達の言う通りだ。まだ楽観視が出来る状況ではない」
ゴジータは相変わらず移動しながら攻撃を続けていた。ただし、彼は闇雲に攻撃しているのではなく、攻撃を受けた時のカイの反応の度合いを確かめていた。なかなか痛がる様子を見せないカイだったが、ゴジータがカイの腹部を攻撃した時、カイは体を大きく揺らして苦しそうな呻き声を上げた。よく見ると、カイの腹部には固い鱗が無かったので、ゴジータの攻撃が他の部位よりも効いていた。
カイは腹部が弱点だと発見したゴジータは、そこを重点的に攻めた。カイは守勢になると、大きな図体が災いして動きが鈍かった。ゴジータは全く抵抗を受けずに攻撃を続け、最後はビッグバンかめはめ波で腹部に大穴を空けた。ゴジータの攻撃はカイに大ダメージを与えたが、同時にカイを激怒させた。カイは怒りの余り、鱗の色が緑から赤に変化し、気が急上昇した。そして、左右の前脚を振ってゴジータを攻撃しようとしたが、ゴジータはカイの頭上に移動して攻撃を回避した。
「流石に、そう簡単に勝たせてもらえないな。貴様には俺の取って置きを、お見舞いしてやる」
ゴジータは両手を大きく広げ、気を溜めた。そして、カイの口に目掛けて必殺技を放った。
「喰らえ!ファイナルかめはめ波!」
ゴジータのファイナルかめはめ波は、カイの口を通って体内を縦断した。カイには、この攻撃が相当応えたらしく、技を受けた直後に奇声を発して暴れ出した。ゴジータは耳を抑えながら一旦カイから離れたが、この時フュージョンが解けて元の二人に戻った。
「あちゃー、もうフュージョンが解けちまったか。もう少し合体していられると思ったのに・・・」
「今回は移動に随分時間が掛かった。移動しないで攻撃していれば、もっと攻撃出来ただろうがな」
悟空とベジータが話し合っていると、これまで離れて観戦していた悟飯が飛んで来た。
「お陰で助かりました。それにしても、凄かったですね!あれ、超サイヤ人5でしょう?」
「ああ。まだ上手く力のコントロールが出来ねえけどな。それよりも、これからどうする?結構ダメージを与えたと思うが、まだまだ簡単には勝てねえだろう」
「とりあえず、カイの背中の上に移動するぞ。カイは俺達の居場所を気だけで特定している。気を小さくしておけば、カイに見つかる心配はない」
悟空親子はベジータの意見に賛同し、三人は気を消してカイの背中の上に飛び乗った。カイは怒り狂って方々を振り向きながら悟空達を探したが、まさか自分の背中にいるとは夢にも思わなかった。悟空達は腰を下ろし、打倒カイの方策を協議した。
「先程、父さん達が空けた腹の穴から奴の体内に侵入し、内側から攻撃しましょう。カイは体の中に手出し出来ないはずだから、確実に倒せます」
悟飯が提案したのは、カイに安全かつ確実に勝利する方法だった。しかし、純粋なサイヤ人である悟空やベジータにとっては、勝っても嬉しくない弱腰な戦法に聞こえた。
「そんなのは、サイヤ人の戦い方ではない!このまま一時間待ち、もう一度フュージョンして攻撃するべきだ。時間ギリギリまで攻撃し、合体が解ければ安全な場所に移動して一時間待つ。それを繰り返せば、何時かカイを倒せるだろう」
合体が解ければ急いで避難しないと、カイから攻撃を受ける危険性はあるが、それでも勝てる可能性が高いベジータの戦法だった。悟飯は「それでもいいか」と、ベジータの作戦を受け入れようとしたが、悟空は承知しなかった。
「それだと時間が掛かり過ぎちまう。やっぱり、オラは正面から堂々と戦って勝ちてえ。悟飯とベジータは、カイの腹を攻撃して奴の注意を引いてくれ。その間に、オラがカイに止めを刺す」
悟飯とベジータは、悟空の発言に揃って啞然とした。
「貴様が止めを刺すだと?悟飯ならともかく、貴様では碌にダメージを与えられまい」
「悟飯は腕を怪我している。そんな大事な役目を任せるわけにはいかねえ。オラが絶対に倒して見せるから、二人ともオラの言う通りにしてくれ」
結局、悟空に押し切られた悟飯とベジータは、気を開放し、カイの腹の前に移動して攻撃を始めた。ところが、カイは尻尾を使って反撃してきた。カイは長い尻尾を自在に操り、悟飯達を倒そうと次々と尻尾による攻撃を繰り出した。何処から攻撃してくるか予測が難しい尻尾の動きに翻弄された悟飯達は、必死になって逃げ回ったが、カイの攻撃は一向に止まらなかった。
カイは何かと目障りな悟飯達を撃退しようと、色々と尻尾の動きを変えて攻撃を繰り返した。変幻自在な尻尾の動きに完全に翻弄されたベジータは、尻尾の攻撃を避けきれず、遂に攻撃が当たるかに見えた丁度その時、悟飯が身代わりとなって攻撃を喰らった。攻撃を受けた悟飯は吹っ飛ばされ、全身の大半の骨が折れる程の重傷を負ってしまった。もはや体を動かす事すら不可能となった悟飯を、今度はベジータが救出したが、二人がカイに倒されるのは時間の問題だった。
その間に悟空は、カイの頭部に移動し、カイの目の前で超サイヤ人4になった。カイは目の前の悟空を倒すために、口を開けて波動砲を放った。まともに喰らえば骨すら残りそうもない恐ろしい攻撃だが、悟空は間一髪で避けてカイの鼻の上に飛び乗り、カイの眉間を目指して走り出した。
カイの眼前にまで来た悟空は、カイの左目に龍拳を放った。悟空の右腕はカイの左目に突き刺さり、龍拳はカイの眼球を貫き、その奥にあるカイの脳に突っ込んだ。一発だけでは足りないと判断した悟空は、体力が続く限り次々と龍拳を放ち、カイの脳を完全に破壊した。
脳を破壊されたカイは、活動を停止した。カイの最期を悟った悟空達は、巻き添えを喰らわない様にカイから離れた。カイは深い闇の中へと墜落し、カイの体が完全に見えなくなった時、悟空達は封印の塔に戻された。そこには苛立ち顔のボレィが居た。
「ま、まさか伝説の超獣と言われたカイまで倒すとは・・・。とても信じられない。だが、お前達の快進撃も、ここまでだ。カイとの戦いで力を使い果たした今なら、この僕でも簡単に勝てるぞ」
「そいつはどうかな?オラと悟飯は戦えねえが、まだベジータがいる。ベジータ、任せたぞ」
「ベジータさん。ボレィは力は弱いかもしれませんが、恐ろしい魔術を使いますので、決して侮れない相手です。でも、ベジータさんなら大丈夫です。後は頼みます」
悟空は悟飯を抱えて部屋の隅に移動し、そこで親子寄り添って眠った。幾ら激闘を終えたばかりとはいえ、敵の目の前で眠るのは、二人がベジータの実力を心から信頼している何よりの証だった。
「ふん。あの親子が揃って俺に頼むとはな・・・。悪くない気分だ」
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