其の三 不気味な予言

惑星レードから戻ってきた悟空達は、彼等の無事の帰りを待っていた悟飯達に、惑星レードで起こった出来事を報告した。そして、自分達が居ない間に、ロボットが再び攻めてこなかったか尋ねたが、幸い何事も無かった。全員が一安心した所で、真犯人の探し方を話し合った。

「敵が俺達の命を狙っているなら、また仕掛けてくるよ。このまま待っていれば良いんじゃない?」
「馬鹿め!相手は手段を選ばない卑劣な奴だ。俺達が寝静まっている時に襲ってくるかもしれない。もしくは、いきなり地球ごと俺達を消そうとするかもしれない。だからこそ一刻も早く見つけ出す必要があるんだ!」

これまでのロボット達は、こちらの隙を突いて、いきなり襲ってきた。堂々と戦おうとはせず、卑劣極まりない戦法を用いるのだから、ロボットを嗾ける大本を早急に成敗する必要があった。

「でも、探すと言っても、この宇宙にある無数の星の中から、どうやって犯人を探すの?」
「それが分からんから、今こうして話し合っているんだろうが!馬鹿な事ばかり言うな!」

ベジータに再三怒鳴られ、悟天は押し黙った。悟天に代わり、今度はトランクスが提案した。

「まさかドラゴンボールを使うわけにもいかないし・・・。そうだ!占いババさんに占ってもらったらどうですか?」
「そうだなあ。あの婆ちゃんだったら、見つけられるかもしんねえな」

悟空達は早速占いババの元に行き、事情を説明して、真犯人の正体や潜伏場所等を占ってもらうよう頼んだ。しかし、占いババは首を横に振った。彼女曰く、その犯人が地球に潜伏しているなら占えるが、宇宙の何処かに居るなら、範囲が広過ぎて占えないという。仕方なく悟空達は天界に戻り、話し合いを再開した。次に頭脳派のピッコロが発言した。

「ロボットが現れたのは、地球と惑星レードだけとは限るまい。俺達が知らないだけで、他の星にも現れたのではないか?あれだけの力を持ったロボットだ。他の星なら壊滅状態に陥るだろう。既に多くの星が、ロボットによって滅ぼされたかもしれない。それが気掛かりだ」
「それにロボットを追っていけば、それを操る犯人に辿り着けるかもしれませんしね」

ピッコロと悟飯の会話に、パンが割って入った。

「でも、パパ。ロボットが現れた星なんて、どうやって分かるの?」
「問題は、そこなんだよな。この近くで大量に気が減っている星があれば、そこでロボットが暴れている可能性はあるが、そんな気は感じられない・・・。そうだ!界王様なら分かるかもしれない。父さん。界王様に訊きに行ってみれば・・・」
「よし!ちょっくら行ってくる」

早速、悟空は瞬間移動で界王の元へと向かった。悟空が天国に着くと、四人の界王が難しい顔をして揃い踏みしていた。しかし、悟空は彼等に気兼ねする事なく、北の界王に話し掛けた。

「よー、界王様。久しぶりだな」
「悟空か。近々、お前を呼ぼうと思っていたが、お前の方から来てくれるとは都合が良い」
「と言うと、やっぱりロボットが何処かの星で暴れてんのか?」
「ロボットだと?ロボットのせいかどうか知らんが、最近、西銀河にある星が、何者かによって次々と滅ぼされておる。わし等は何者の仕業か探っておったのだ」

何者かが西銀河内で暴れていると悟った界王達は、手分けして西銀河の星を探っていた。そして、敵の正体が分かれば、悟空達を呼び出して、その敵を倒してもらおうと考えていたが、今だ敵を特定出来ていなかった。

「多分、地球や惑星レードに現れたのと同じタイプのロボットが、西銀河でも暴れているんじゃねえか?」
「何!?お前達の所にも、そのロボットとやらが現れたのか?ちっとも知らなかった。これまでの経緯を話せ」

悟空は言われた通り、これまでの経緯を界王達に話した。

「なるほどのう。西銀河で暴れている者は、大きな気の持ち主だと思って、皆で気を探っていたが、気が無いロボットが相手では、見つかるはずがない。では、どうやって探そうか?西銀河と一言で言っても、かなり広いからな。闇雲に星を一つずつ探ったのでは、何時まで経っても見つけられん」
「現在、気が減っている星を探せば良いんじゃねえか?」
「あ!そうか!よし。早速やってみよう」

四人の界王は手分けして、気が次々と減っている場所を探した。やがて東銀河の界王が、甲高い声を上げて叫んだ。

「居たわ!ロボットよ!ロボットが人を殺してるわ!」

東の界王はロボットが人を虐殺している星を見つけ、他の三人の界王達に、その星の場所を教えた。

「むむう・・・。こいつは酷い。このままでは、この星に住む者達が皆殺しにされるのも時間の問題じゃぞい」
「そんな事は、オラがさせねえ。オラが今すぐ行って、ロボットを止めてくる」
「頼んだぞ。悟空よ」

悟空はロボットが暴れている星の方角を確認して気を探り、瞬間移動で星まで移動した。そこで悟空が目にしたのは、地球や惑星レードに出現したのと同タイプのロボット達が、その星の住人を次々と虐殺している光景だった。そして、ロボット達の傍で笑っている男がいた。その男は桃色の肌で、背丈は悟空よりも低いが、頭部が大きく、白衣を着ていた。青白い肌をしている星の住人とは明らかに違う種族の異星人であり、ロボット達は、その男にだけは決して手を出さなかった。

悟空は一番近くにいたロボットを、渾身の力で蹴り飛ばした。蹴飛ばされたロボットは、別のロボットと衝突し、二体同時に爆発した。ようやく白衣の男は、悟空の存在に気付いた。

「な!お、お前は!?どうして、この星に!?」
「オラの事を知ってるのか?だとしたら、やっぱりおめえだな。地球や惑星レードにロボットを送りつけて、オラ達に襲わせた奴は。そして、今は罪の無い人を次々と殺している。おめえだけは絶対に許さねえぞ」
「くっ。たった一人で何が出来る?リブマシーン達よ!あの男を殺せー!」

男の号令の下、リブマシーンと呼ばれたロボット達は、虐殺行為を止めて、一斉に悟空に襲い掛かった。しかし、怒れる悟空の敵ではなく、リブマシーン達は瞬く間に全て破壊された。

「あ・・・。そ、そんな・・・。リブマシーン達が一瞬で・・・。こ、ここまで強い奴だったとは・・・」

男が動揺している隙に、悟空は返す刀で男に迫り、殺さないよう手加減しながら男の腹部を殴って、男を気絶させた。

「おめえからは色々と訊きたい事があるが、それは仲間達やレードの前で話してもらう。それまで大人しくしていろ」

悟空は意識の無い男を抱えると、瞬間移動で界王の元に戻ろうとした。しかし、周囲を見渡して、視界に入ってきた惨たらしい光景に心を痛め、生き残った星人達に近付いて声を掛けた。

「遅れて来て済まなかった。もっと早く来ていれば、更に大勢の人の命が救えただろう。おめえ達だけでも生きててくれ」

悟空は改めて瞬間移動しようとしたが、今度は生き残った星人の一人に呼び止められた。その星人は、何の特徴もない平凡な服を着た他の星人達とは違い、一風変わった衣装を着ていた。全身黒一色の服を着、頭にはフードを被り、目から下は布で覆っていた。

「待って下さい。あなたが来なければ、私達は確実に皆殺しにされていたでしょう。あなたには大変感謝しています。お礼を差し上げたいのですが、持ち合わせがありません。その代わりと言っては何ですが、私には人相見の才があります。よろしければ、あなたの事を見てあげましょうか?」
「そうか?じゃあ見てもらうか」

その星人は占い師だった。本当は一刻も早く戻りたかったが、無下に断るのも悪いと思い、悟空は見てもらう事にした。占い師は悟空の顔を見つめ、ゆっくりと語り始めた。

「あなたは世にも稀な人生を送ってきたようですね。これまで数多の敵と戦ってきました。これから先も、戦いは続くでしょう。ただし、この先の戦いは、少し違うものになるでしょう。これからは、これまで戦ってきた敵が、味方となってあなたと共に戦い、これまで共に戦ってきた味方が、敵となってあなたの前に立ち塞がるでしょう。ゆめゆめ油断なさらぬように」
「何だって!?そ、そうか。分かった。ありがとう。じゃあな」

流石の悟空も、この予言には少なからずショックを受けた。そして、悟空は言葉少なに、その星を後にした。その後、地球に戻った悟空は、待っていた仲間達にロボットを操っていた男を見せたが、不吉な予言の内容については、誰にも話さなかった。

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